齋藤力

DORMEUILの"TONIK 2000"で仕立てるDORSOのMTMツーピーススーツ

PROCESS OF ORDERING
お客様から頂戴したオーダーアイテムの素材選びから仕上がりまでの過程について、DORMEUILの"TONIK 2000"でオーダーを頂戴したネイビーツーピーススーツを一例にご説明をさせていただきます。
DORSOでスーツをオーダーいただいた場合のご注文からご納品までの流れ、お客様からのご要望やこだわり、私自身が洋服作りに対して大切にしていることについて触れていきます。

生地選び

今回ご紹介させていただく"PROCESS OF ORDERING"は、DORSOでは初めてのオーダーとなるお客様のオーダースーツについてです。
インスタグラムをきっかけにDORSOを知っていただき、その後店舗にお越しいただき"DORSO STOCK COLLECTION"をご覧いただきました。

"DORSO STOCK COLLECTION"とは、DORSOが現物生地を仕入れて在庫しているコレクションとなります。
バンチコレクションにも素晴らしい生地が多い中で敢えてDORSOが生地をコレクションする基準は、
①ヴィンテージ生地の一点物
②廃盤生地で今後入手ができなくなる物
③珍しい品質の生地でバンチにそもそも含まれていない物
④現行バンチコレクションに含まれているが、敢えて現物で仕入れてご覧いただきたい品質の物
これら①~④の現物生地を厳選して仕入れることでお客様へのより良いご提案を目指しております。

今回お選びいただいた DORMEUILの"TONIK 2000"は、④現行バンチコレクションに含まれているが、敢えて現物で仕入れてご覧いただきたい品質の生地でした。

TONIKとは元々は1957 年にドーメルによって開発され、世界中に支持された名品です。

そんな名品であるTONIKを現代に合わせて再構成された品質が"TONIK 2000"となります。

TONIK 2000はトニックらしいハリコシが実現する仕立て映えの良さに加えて、70 Wool & 30% Mohair / 325grmという品質は日本の気候に於いて春~秋の長いシーズンをカバー致します。

今回ご紹介をさせていただくお客様からお聞きした「あらゆる場面で着用可能な定番ネイビースーツ」というご要望にお応えするのに相応しい生地としてTONIK 2000をお薦めさせていただきました。

仮縫い

DORSOでは初めてのオーダーのお客様には仮縫いをサービスでお薦めしております
今回のお客様にも仮縫いの目的についてご説明をさせていただいた上でフィッティングチェックの機会を頂戴致しました。

今回のお客様は他店様でのビスポークやMTMのオーダー経験があるとお聞きしており、今までのオーダーで感じられたことを対話の中で共有させていただいた上で今回のDORSOでのオーダーに期待されることを確認しながら仮縫いを進めさせていただきました。

仮縫いとは、採寸時に取らせていただいたデータを基にお客様の体型に合わせて組み立てた"仮で縫われた状態の服"を着ていただき、本縫いをイメージしながらフィッティングを更に良くするための調整を加えていくオーダーならではの過程です。

*仮縫いについて
関連記事「"オーダーした洋服の着心地"についてDORSOが思うこと

仮縫いで袖丈のチェックをさせていただく際に私が重要視しているポイントは、
・実際の腕の長さ
・手の大きさ
・着丈とのバランス
そして完成後に普段お召しのシャツと合わせて着た時に袖口からどれくらいシャツが見えるかについてです。

袖口から見えるシャツの寸法についてはお好みが分かれる部分となり、お客様のお好みをお聞きしながら私のお薦めや狙いについてお伝えした上で設計をさせていただきます。

肩回りの設計については着心地を大きく左右する重要な箇所ですので、お身体の左右差や前後のバランスをチェックさせていただきます。

今回のトニックのように伸縮性や柔軟性がほとんどない素材の場合は、その特性を考慮した調整を加えて設計をさせていただきます。

採寸時のデータを基に設計した仮縫いに対して、仮縫いで得た情報をオーダーシートに書き加え、お客様にとって心地良いフィッティングとなるように再設計していく事が仮縫いの目的です。

完成とご納品

オーダーをいただいていたスーツが完成致しました。

仕上がったツーピーススーツを着用していただき、先ずはトニックの生地の特性・モヘア感、ネイビーの色味を確認していただき、最終のフィッティングチェックをさせていただきました。

今回のお客様には、ご注文時に"DORSOハイクオリティーオプション"をお薦めさせていただき、
・肩イセ増量仕立て
・袖イセ増量仕立て
・衿穴(フラワーホール)手かがり仕立て
これらのハイクオリティーオプションを採用した仕立てをお選びいただきました。

*"DORSOハイクオリティーオプション"について
関連記事「私が選んだ "LORO PIANA SILK AIR" のウール&シルク&カシミヤ ジャケット

今回のブログでは、新規のお客様からオーダーを頂戴したDORMEUILの"TONIK 2000"で仕立てたツーピーススーツをご紹介させていただきました。

DORSOで仕立てさせていただいたオーダースーツをお客様の生活の中で着ていただき、実際の動きに伴う着用感やスーツ自体のデザイン・バランス・仕様(裏地やポケット)について感じられたことはできる限り共有させていただきたいと私は思っております。
初めてのオーダーのお客様もリピーターのお客様も同様に、お客様のワードローブに携わらせていただく中で1着1着のご納品を大切にしながら、ご納品後もご意見をお聞きすることでお客様の理想を形にするお手伝いを可能にし、私が取らせていただいたデータをアップデートし続けることでお客様の期待にお応えできると信じております。
お客様の期待を超える服作りを目指して、今後もDORSOは尽力致します。

齋藤力

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