齋藤力

"ESCORIAL"で仕立てたブラウンスリーピーススーツ

PROCESS OF ORDERING
お客様から頂戴したオーダーアイテムの素材選びから仕上がりまでの過程について、"ESCORIAL"で仕立てたブラウンスリーピーススーツを一例にご説明をさせていただきます。
DORSOでスーツをオーダーいただいた場合のご注文からご納品までの流れ、お客様からのご要望やこだわり、私自身が洋服作りに対して大切にしていることについて触れていきます。

生地選び

今回ご紹介させていただく"PROCESS OF ORDERING"は、DORSOでは初めてのオーダーとなるお客様のオーダースーツについてです。
来店予約フォームからご連絡を頂戴し、その後メールでお客様のワードローブと今回のオーダーに対するイメージについて事前に情報を共有させていただきました。

店舗にお越しいただき、先ずはご用意していた"DORSO STOCK COLLECTION"の生地を幾つかご覧いただきました。そんな中で特に気に入っていただけたクオリティーが"ESCORIAL (エスコリアル)"、お客様から頂戴していたリクエストに合わせて通年対応生地のスリーピーススーツ用としてこの品質をお薦め致しました。

"DORSO STOCK COLLECTION"としてご用意していたブラウン無地・ネイビー無地・グレーシャークスキン、3種の"ESCORIAL (エスコリアル)"を見比べていただきながら仕上がりのイメージについてお話をさせていただきます。

*"DORSO STOCK COLLECTION"とは、DORSOが現物生地を仕入れて在庫しているコレクションとなります。
バンチコレクションにも素晴らしい生地が多い中で敢えてDORSOが生地をコレクションする基準は、
①ヴィンテージ生地の一点物
②廃盤生地で今後入手ができなくなる物 
③珍しい品質の生地でバンチにそもそも含まれていない物
④バンチコレクションでは魅力が伝わりにくいので現物でお薦めしたい生地
などの現物生地を厳選して仕入れることでお客様へのより良いご提案を目指しております。

今回のエスコリアルは、バンチにも含まれる現行品なのですが希少性が高い品質の為に今後は手に入れるのが難しくなる可能性があると思い現物生地をストック致しました。

3色のエスコリアルの中から今回お選びいただいたのはブラウン無地。ネイビーやグレーは既に所有されているということをお聞きしておりましたので、お仕事でも着ることができると同時に今までと少し違うアプローチとしてこちらのブラウンを私はお薦めさせていただきました。

ESCORIAL (エスコリアル)

ESCORIAL (エスコリアル)について少しご説明をさせていただきます。
エスコリアルは16世紀初頭にスペイン王室専用としてエスコリアル修道院で大切に飼育させて羊が名前の由来となっております。
エスコリアル羊は一時絶滅の危機にさらされることもありましたが何とか生き残り、エスコリアル羊の希少性と優れた特性が注目されたことで現在ではエスコリアル羊直系の子孫がニュージーランドの大自然で大切に飼育されております。
そんはエスコリアル羊から採られる繊維は、2002年に世界で最も繊維が細いウールとして認定されました。摂取量も非常に少なく希少性が高い繊維として我々テーラーの中でも特別な扱いをしている繊維のひとつです。
洋服に仕上がった時のしっとしとした生地感、控えめで上品な雰囲気、繊維の特性を活かした自然な伸縮性がエスコリアルならではの魅力です。

スリーピーススーツの仮縫い

DORSOでは初めてのオーダーのお客様には仮縫いをサービスでお薦めしております。
今回のお客様にも仮縫いの意味についてご説明をさせていただいた上でフィッテイングチェックの機会を頂戴致しました。

仮縫いとは、採寸時に取らせていただいたデータを基にお客様の体型に合わせて組み立てた"仮で縫われた状態の服"を着ていただき、本縫いをイメージしながらフィッティングを更に良くするための調整を加えていくオーダーならではの過程です。

*仮縫いについては、過去のブログ「"オーダーした洋服の着心地"についてDORSOが思うこと」で詳しくご紹介をしておりますので是非ご覧くださいませ。

先ずはパンツとベストを着ていただきフィッティングのチェックをさせていただきます。

ベストとパンツのフィッティング、両者の繋がり、バランスについて確認をしていきます。

続いてジャケットを着ていただき、全体のバランスをチェックさせていただきます。

ジャケットとベストの関係性については、釦の位置関係やベストの見え方を確認して仮縫いで必要な調整を加えます。

フィッティングについて私が確認をしていく中で、お客様にはオーダーしていただいた生地の質感・色味を確認していただきます。

仮縫いでは袖を外して、左右の肩の傾斜の違い・肩の厚みの違い・腕の太さについて確認をさせていただき、より快適なフィッティングにするために必要な調整を加えて再設計させていただきます。

ご納品

仕上がったお客様のスーツを着用していただき、先ずはエスコリアルの素晴らしい生地の質感、ブラウンの色味を確認していただき、最終のフィッティングチェックをさせていただきました。

ベストのフィッティングは身体に沿うように仕立てさせていただきます。

スリーピーススーツの魅力、ベストが入ることでスーツの雰囲気が様変わりします。

勿論ツーピーススーツでの着用も可能です、ビジネスシーンや季節に合わせて使い分けていただけます。

DORSOで仕立てさせていただいたオーダースーツをお客様の生活の中で着ていただき、実際の動きに伴う着用感やスーツ自体のデザイン・バランス・仕様(裏地やポケット)について感じられたことはできる限り共有させていただきたいと私は思っております。
お客様のワードローブに携わらせていただく中で、オーダー1着1着のご納品を大切にしながら、ご納品後もご意見をお聞きすることでお客様の理想を形にするお手伝いを可能にし、私が取らせていただいたデータをアップデートし続けることでお客様の期待にお応えできると信じております。
お客様の期待を超える服作りを目指して,今後もDORSOは尽力致します。

齋藤力

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