齋藤力

最高品質のカシミヤを活かしたテーラー仕立ての本格的ポロコート

テーラー仕立ての本格的カシミヤポロコート

PROCESS OF ORDERING
お客様から頂戴したオーダーアイテムの素材選びから仕上がりまでの過程について、"PIACENZAのALASHAN TOPCOATS"でオーダーを頂戴したカシミヤのポロコートを一例にご説明をさせていただきます。
DORSOでMTMのポロコートをオーダーいただいた場合のご注文からご納品までの流れ、お客様からのご要望やこだわり、私自身が洋服作りに対して大切にしていることについて触れていきます。

テーラー仕立てのポロコート

テーラー仕立ての本格的カシミヤポロコート2

今回ご紹介するコートの記事は、DORSOでスーツやシャツを仕立てさせていただいているリピーターのお客様からいただいたポロコートのオーダーについてです。

こちらのお客様とはスーツのオーダー・ご納品時にお会いさせていただく中でコートについてのお話が数回出ていたこともあり、6月8日(土)~7月28日(日)に開催しておりましたDORSOコート オーダーフェア2024でコートについてご提案をさせていただき、今回のポロコートのオーダーを頂戴致しました。

DORSOでのコートのオーダーは初めてでしたので、サンプルや写真でDORSOのコートのデザイン・スタイルの種類、それぞれのスタイル別の特徴や用途についてご説明をさせていただきました。
その結果、今お手持ちのコートのデザインと色味が被らずに、かつビジネスシーンからカジュアルな装いまで幅広く着ることが可能なコートとして今回はポロコートをお選びいただきました。

ポロコートとは、イギリスのポロ競技の選手が競技の待ち時間に着用していたベルトで前を締めるローブのような仕立てのコートが原型であり、1910年にブルックスブラザーズが現在のデザインとディテールを取り入れたポロコートをアメリカで広め、1920年代にアイビーリーグの学生たちの間で流行したことで紳士服の定番コートとしての地位を確立しました。
現代では、伝統的で重厚感のあるデザインとディテールを取り入れて仕立てられた本格的なポロコートから今風に軽く着やすいデザインにモダナイズしたものまで見られ、現在の紳士服のワードロープに欠かすことのできないコートのひとつといえます。

生地選び

生地は、いくつかご提案させていただいた中からPIACENZA社の"ALASHAN TOPCOATS"の3PLY Alashan Cashmereのブラックをお選びいただきました。

ALASHAN TOPCOATS(アラシャン トップコート)は、カシミヤ界のトップクオリティーである内モンゴル産のアラシャン カシミヤを原料としたコート用生地のコレクションであり、カシミヤを得意とするPIACENZA(ピアチェンツァ)だからこそ実現できる贅沢な品質が魅力です。

今回お選びいただいたカシミヤをスリープライで織り上げたクオリティーは、カシミア特有の柔らかさ・滑らかさが素晴らしいのは勿論ですが、スリープライらしい生地の肉厚感がコートに仕立て上がった際により一層ムードを高め、ポロコートのデザインの特徴であるステッチワークを最大限活かすことができる素材としてお薦めをさせていただきました。

コートの仮縫い

前述したようにこちらのお客様にはDORSOでスーツをオーダーしていただいておりますので、これまでのスーツのデータを基にコートの仮縫いを設計をさせていただく"仮縫い付き"の仕立てをご提案させていただきました。
スーツのフィッティングデータがあるのにも関わらず、コートを仕立てさせていただく時に私が仮縫いを再度お薦めしたい理由は、オーダーコートの設計の際にスーツのデータがある場合はそのデータをベースにすることで着心地を左右する重要なフィッティングについて精度を高めることは可能なのですが、コートの着丈や裾に向かってのライン(フレア具合)や生地のドレープ感などのスーツでは確認ができないコート特有のチェックポイントがあるためです。
スーツのデータでは見えない部分について、コートの仮縫いで再度チャックをさせていただくことでオーダー主であるお客様のフィッティング・デザイン面での最適解を模索できる機会が仮縫いだと考えて"仮縫い付き"の仕立てをお薦めしております。
(DORSOで初オーダーのお客様の場合は、スーツやジャケットのデータが無い代わりに、弊社サンプルか普段お召しのジャケットを基に設計をさせていただいております。)

*DORSOコート オーダーフェアでは、DORSOが自信を持ってお薦めしております仮縫いをサービスでお薦めしております。
(DORSOでの初回オーダー仮縫いサービスとは別で、オーダーフェア期間はコート仮縫いサービスを実施しております。)

テーラー仕立ての本格的カシミヤポロコートの仮縫い

完成

オーダーをいただいていたポロコートが完成致しました。

デザインについて、フロントはダブルブレステッドの打ち合わせ、衿はアルスターカラー、ポケットはフレームドパッチ、袖口のターンナップカフス、背中に付いているウエストのベルト、背中の中心の縫い目にあるインバーテッドプリーツ・両サイドで畳まれたタック、これらのディテールがポロコートの特徴でありテーラーならではの本格的な仕立てとなります。

仕上がったコートを着用していただき、先ずはピアチェンツァのスリープライカシミアの生地の質感とポロコートのデザインをお客様に確認していただき、最終のフィッティングチェックをさせていただきました。

アルスターカラーとダブルの打ち合わせ。

ポケットのフレームドパッチと袖口のターンナップカフス。

背中に付いているウエストのベルト。

背中の中心の縫い目にあるインバーテッドプリーツ・両サイドで畳まれたタック。

今回のブログでは、リピーターのお客様のポロコートのオーダーをご紹介させていただきました。
DORSOで仕立てさせていただいたコートをお客様の生活の中で着ていただき、実際の動きに伴う着用感やバランス・仕様(裏地やポケット)・コーディネートについて感じられたことはできる限り共有させていただきたいと私は思っております。

初めてのオーダーのお客様もリピーターのお客様も同様に、お客様のワードローブやコーディネートに携わらせていただく中で1着1着のご納品を大切にしながら、ご納品後もご意見をお聞きすることでお客様の理想を形にするお手伝いを可能にし、私が取らせていただいたデータをアップデートし続けることでお客様の期待にお応えできると信じております。
お客様の期待を超える服作りを目指して、今後もDORSOは尽力致します。

齋藤力

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 2025年1月30日(木)〜 2月1日(土)

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