齋藤力

私が選んだ "Caccioppoli Jackets" の新作 "Canapa and Wool"

"Why I ordered"
Why I orderedでは私が自分のために仕立てた洋服について、なぜこの生地を選んだのか、何を考えて仕立てたのか、完成した洋服の着想感はどうなのか、どんな着方をするのか、私なりの考えを記事にさせていただきます。
是非ご覧くださいませ。

Caccioppoli 2023S/S Collection

Caccioppoli社が展開する2023年初夏の新作コレクションに目を通す中で、目が離せないくらい魅力的なジャケット生地に出会いましたのでご紹介をさせていただきます。
この生地に魅了されたポイントは3つ
①インパクトがあるビッグサイズのハウンドトゥース
②オフホワイトとグレージュの配色
③Canapa&Wool(カナパ&ウール)というコンポジション

ジャケット用の生地コレクションは毎シーズン各生地ブランドから発表させるのですが、この生地の柄は私が今まで見たことがないバランスのビッグサイズのハウンドトゥース、一目見ただけでオーダーを決めるほど強いインパクトが魅力でした。
ハウンドトゥースに限らず柄が大きくなると派手すぎる印象になることが多いのですが、この生地の場合はグレージュとオフホワイトの柔らかいトーン2色で構成され、優しい色同士の調和によりコントラストが和らいでいることで洋服に仕上がると上品な雰囲気を醸し出すだろうとイメージができ、生地の見るだけで色々なコーディネートが思い浮かび、実際に着てみたいと思わせてくれました。
生地感については、カナパという麻が75%・ウールが25%の組み合わせが非常に珍しく、着たことがないクオリティーに対して洋服好きとしては心惹かれました。
洋服生地の中では麻といえばリネンが有名ですが、カナパは同じ麻の一種でありながらリネンとは全く違う見た目と質感の繊維です。細い繊維が密になることで繊細な見た目となり清涼感がある質感のリネンに対して、カナパは太い繊維で素朴さと頑丈な質感が特徴であり洋服に仕上がるとカナパ特有のざっくりのした織りがカジュアルに使える雰囲気を漂わせます。
カナパにウールを25%混ぜることで滑らかさと柔らかさを与えて、カナパ特有のドライな生地感は残しつつ上質感のある肌触りの両立に成功しております。

ジャケット完成

ジャケットが完成致しました。

DORSOのこだわりのひとつ、ラペルのあまいロール感。

正面から見たラペル。
ボタン上でふんわりとロールして、裾に向かって自然に繋がるフロントカーブを描きます。

カジュアルな生地の質感を活かして、腰ポケットはアウトポケットで仕立てました。

控えめに馴染むナットボタンや爽やかさがある貝ボタンとも相性が良い生地感ですが、水牛ボタン特有のマーブル調の色味を足すことで生地のインパクトとつり合いが取れると思い、私は光沢感を抑えたブラウンの水牛ボタンを合わせました。

コーディネート

仕上がったジャケットにidascratchのニットポロをコーディネート。

色落ちしたデニムとの相性も良い、色落ちでグレーがかったブラックデニムも合わせたくなりました...

モックネックニットを合わせたコーディネート。

グレーのウールパンツと合わせてコントラストを付けるコーディネート、ジャケットの上品さが引き立ちます。

ダークトーンのインナーとのコントラスト。
今回はチャコールグレーを合わせましたがネイビーのインナーとも相性が良さそう、ネイビーをインナーに持ってくるならパンツはグレーじゃない方が良いかなぁとイメージが膨らみます。

ベージュのニットポロを合わせたコーディネート。

明るいトーン同士を組み合わせたコーディネートは柔らかい雰囲気。

グレージュのクルーネックニットを合わせたコーディネート。

暑い時期にもお薦め、ホワイト・オフホワイト・グレージュの組み合わせ。
軽快で爽快な雰囲気を演出したかったので、首元はすっきりとクルーネックを選択しました。

タイドアップのコーディネート。

タイドアップスタイルでは、グレーのシャツにグレージュのネクタイを合わせて曖昧な色味のVゾーンを試してみました。
ネクタイとのコーディネートは他にも試していきたいと思いますので、今後もInstagramでコーディネート紹介をさせていただきます。

毎シーズン発表される新作コレクション。
各ブランドが提案したい時代感や傾向を感じながら、一枚一枚じっくりと目を通していきます。
お客様の顔を浮かべながらの生地の仕入れ、自分自身が着てみたいと思う生地の仕入れ、仕上がりをイメージしながらDORSOにとって必要な生地を厳選して仕入れをします。
今回ご紹介したハウンドトゥースのジャケット生地は、一目見た瞬間に着てみたいと思わせてくれる柄と質感を備えた生地、生地に触れながら同時にコーディネートを思い浮かべて具体的なイメージをすることができました。
一見すると着こなしが難しそうな生地でも、実際に着てみることで新たな発見があったり、新たな可能性を広げてくれたり、今まで着たことがないような柄や質感の生地で仕立てた洋服は自分自身に心地良い刺激を与えて装うことを楽しませてくれます。
お客様に生地をお薦めする時と同じように、私も自分自身にとって何が良いのかを真剣に考えながら生地をオーダーして自分のために仕立てております。
今まで着たことがない挑戦となる生地を選び、仕上がったジャケットにワクワクしながら袖を通す、テーラーである私にとっても新鮮な気持ちを味わうことができる瞬間であり、洋服をオーダーで仕立てることで体感することができる経験です。
オーダーで洋服を仕立てることの魅力を少しでもお伝えできればと思い、今回のブログでは自分自身のオーダーについて記事にさせていただきました。
"Caccioppoli Jackets" の新作 "Canapa and Wool" は、DORSO店舗やトランクショーでご用意致しますので是非手に取ってご覧くださいませ。
生地や仕立てに関するご質問やご相談を喜んで受けさせていただきますので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡くださいませ。

齋藤力

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