齋藤力

"記念の無染色ツイードジャケット" DORSOでのオーダーから納品までの流れ

PROCESS OF ORDERING
お客様から頂戴したオーダーアイテムの素材選びから仕上がりまでの過程について、PIACENZAのDISHLEYでお仕立てしたジャケットを一例にご説明をさせていただきます。
DORSOでのオーダーから納品までの流れ、お客様からのご要望やこだわり、私自身が大切にしていることなどもご覧くださいませ。

対話

秋冬に着れるジャケットが欲しいというリクエストを頂戴しましたので、
・今はどんなジャケットをよく着られているのか
・今お手持ちのジャケットの素材や色味のバリエーション
・今から仕立てる素材に期待すること
・仕立てたジャケットをどのようなシーンで着るのか
・仕立てたジャケットに適したコーディネートについて
・お手持ちのパンツやインナーとの着回し方について
・DORSOのジャケットに求めるもの
等々、まずはお客様とゆっくりとお話をさせていただきます。

キーワード

「ジャケット生地は、今持っていない色味でパンツやインナーが合わせやすく、上品に見えるものが欲しい」というお客様からのリクエスト。
お話をする中で、普段はネイビーやグレーのジャケットを気に入って着ていることが多いということが分かり、今回はネイビー・グレー以外で上品に見えるというキーワードを重視してベージュ系の色味をお薦めさせていただきました。

無染色の魅力

山ほどある素材の中から、今回はイタリア生地メーカーPIACENZA(ピアチェンツァ)のDISHLEY(ディシュリー)というコレクションをお薦めさせていただきました。
DISHLEYは、染色をしていない自然な色味の羊毛を使用するのでアイボリーとブラウンの2色のみで織り上げているのが最大の特徴であり、染色がされていないせいか何とも言えない優しい雰囲気を備えた色味が魅力のコレクションです。
ウエイトは290g/mなので冬物素材としては軽いほうですが、インナーにシャツだけではなくタートルネックなどのニットを合わせることも想定するとコーディネートの幅が広がり、使い勝手が良いクオリティーだと判断しました。

二択の愉しみ

色々とお話を進めて、
今のワードローブの中にはない色味の明るいベージュブラウンで新たな試みをするか...
コーディネートのイメージがつきやすいダークブラウンで安心感を優先するか...
最後の最後まで二択で悩まれていました。
悩む時間もオーダーの楽しみのひとつですので、いろいろなシーンを想定しながらコーディネートについて意見を出し合いイメージを共有させていただきます。

記念となる一着を

今回のジャケットは、大切なお仕事の目標達成をされた記念品として仕立てさせていただきました。
お気に入りの腕時計を生地に置いてみて...今までには着たことがなく今後の装いの幅を広げる可能性を重視してベージュブラウンのハウンドトゥースをお選びいただきました。

DORSOの仮縫い

DORSOでは、初めてご注文をいただくお客様を対象に、サービスで仮縫い付きの仕立てをお薦めさせていただいております。

通常の納期よりも多くお時間を頂戴致しますが、仮縫いを間に挟むことで確認作業ができ、お客様と私の両方にとってメリットがある工程だと考えております。
お客様にとっては、お選びいただいた生地が洋服の形になることで全体のバランスが把握しやすくなり、コーディネートのイメージをしていただけます。
フィッターである私にとっては、ご体型に合わせた調整について細かくチェックすることができ、着心地が良くバランスのとれた洋服にするためのデータを取らせていただきます。

確認

全体のバランスを確認しながら、衿を外したり、袖を外したり、着丈を長くしたり短くしたり、釦を外して位置を変えたり、縫い上がった洋服では物理的にできない作業が多いので仮縫いを重要視しております。

ご納品について

待ち望んでいただいていたジャケットが完成致しました。
ご納品は、店舗もしくはトランクショーでお会いして直接お渡しするのが理想ですが、お客様のご都合に合わせて配送させていただくことも可能です。
今回はお客様が店舗へご来店くださりましたので、店舗で納品させていただく場合を例にご紹介をさせていただきます。

全体像

先ずは羽織っていただき、体型の補正・狙ったサイズ感・イメージしていた全体のバランスに仕上がっているかを確認させていただきます。

動きについて

腕を上げたり前に出したり身体を少し動かしていただき、洋服が動きに伴い快適な着心地に仕立て上がっているかを確認させていただきます。

寄り添う

ライトウエイトのツイード素材なので、着込んでいく事でどんどん身体に寄り添い快適な着心地に育つことが期待できる素材です。

こだわり

お客様のこだわりのデザインである袖口が釦一つの仕立て。

中身

洋服に内蔵されている芯地やパットを仕立てに合わせて選定し適切な使い方をすることで、軽い着心地・柔らかい雰囲気・立体感のある仕立てが実現します。

熟成するジャケット

対話からはじまり、悩みながらの生地選び、真剣勝負の仮縫い、そして完成。

着る度に気持ち良い時間をお過ごせて、一緒に年を重ねて熟成させていけるジャケットを仕立てるために全ての工程を大切にして一着一着と向き合います。

齋藤力

DORSO トランクショーのお知らせ

韓国 ソウル " IOLO " トランクショー
2024年4月27日(金)〜 4月28日(日)

タイ バンコク トランクショー
2024年5月10日(金)〜 5月12日(日)

大阪トランクショー
2024年6月14日(金)〜 6月17日(月)

福岡(博多)トランクショー
2024年6月27日(木)〜 6月29日(土)

熊本トランクショー
2024年6月29日(土)〜 7月1日(月)

バンクーバートランクショー
2024年8月2日(金)〜 8月4日(日)

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